遺伝カウンセリングとは INTRODUCTION
遺伝カウンセリングとは
遺伝カウンセリングは、染色体や遺伝子が関与する生まれもった病気や体質にまつわる様々な不安や悩みを相談できる場です。
一般的な外来診察とは違って、しっかり時間をとって行われますので、普段の診療では話しづらかったご自身のお気持ちや素朴な疑問など、気兼ねなく相談いただけます。
また、相談の対象となる方が患者さんに限らないことも遺伝カウンセリングの大きな特徴です。
患者さんのご家族をはじめ、遺伝に関する不安や疑問を持たれている方であれば、どなたでもご利用いただけます。
遺伝カウンセリングの基本的な考え方
遺伝カウンセリングの基本的な考え方は、日本医学会が公表している『医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン』(2022年)にも示されています。
- 疾患の発生および再発の可能性を評価するための家族歴や病歴の解釈
- 遺伝現象、検査、医療的対応(マネージメント)、予防、利用できる支援や研究情報などに関する教育
- 十分な情報を得たうえでの自律的な選択(インフォームド・チョイス)や、リスクや状況に対する適応を促すためのカウンセリング
このように、遺伝カウンセリングは単なる情報提供にとどまらず、医療・心理・家族の観点から「理解」と「適応」を支える包括的な支援とされています。
また、本ガイドラインでは、ゲノム(遺伝)情報は、個人にあった医療を提供するために有用な情報であると同時に、「生涯変わらない」、「血縁の家族と共有している」、「将来の疾患発症リスクを予想できる」などの特性があることから、遺伝カウンセリングの体制整備が必要であると記されています。
遺伝カウンセリングでできること
遺伝カウンセリングでは、来談された方の気持ちや考えを丁寧にお伺いしながら、以下のようなことについて整理します。
- 遺伝が関与する病気や体質についての医学的な情報
- 家族や将来に関わる遺伝的なリスクや可能性
- 遺伝子検査の選択肢やその限界、得られる情報
- 遺伝子検査を受ける・受けない、結果を知る・知りたくないという選択肢
- ライフイベント(今後の生活や妊娠・出産など)ごとに必要な医療的な対応について
遺伝カウンセリングは、遺伝性疾患とともに歩む方が人生のさまざなタイミングで直面する課題にその都度対応できるよう、いつでも立寄れる場として開かれています。
※本ページ中の「遺伝子検査」は、生まれもった遺伝情報を調べる遺伝学的検査のことを指しています。